はじめてのガレット

ある日の会話。

Miyu:「ガレットが食べたいなぁ。」

Soup:「クレープ? ぼくも食べたい!」

Miyu:「クレープはクレープでも、ガレットね。本場のガレット。」

Soup:「ん? クレープと何が違うの?」

Miyu:「!!」

グルメなSoupが、ガレットをちゃんと認識していないなんて。

ガレットとは、そば粉で作るクレープのこと。

フランス・ブルターニュ地方で親しまれている郷土料理。

それなら一度、ちゃんとしたお店で食べてみなくちゃ。

ということで次の週末、MiyuはSoupをお気に入りのカフェへ誘い出した。

ここは神楽坂。

小さな路地を曲がると、リトルフランスの風が吹く。

Miyu:「ここだよ。」

Soup:「うん。いい雰囲気だね。」

そう言いながらも、Soupは初めてのものには少し慎重になる。

ランチのピークを避けて、14:00ごろに到着した2人。

店内は賑わっていたけれど、幸い待っている人はいなかった。

店員さん:「すぐにご案内しますので、座ってお待ちください。」

Miyu:「はーい。」

Soup:「はーい。」

Miyuはワクワク。

Soupはドキドキ。

案内されたのは、店内とテラスのちょうど間くらいの席。

この日はお天気もよく、外の空気が気持ちよかった。

Soup:「基本のメニューはどれ?」

Miyu:「それなら、ジャンボンのコンプレットじゃない? あとシードルね!」

Soupは、基本を押さえておきたいタイプ。

さっそく、シードルがサーブされた。

コロンとしたかわいいボレ(ボウル)に注いでくれる。

りんごの香りが、ふわっと広がる。

Miyu:「んー、美味しい。」

Soup:「ジュースみたいに飲めちゃうよ。」

このシードルは、Val de Ranceの「クリュ・ブルトン ブリュット〈辛口〉」。

ブルターニュ産のシードル専用りんごを100%使い、一番搾り果汁のみで造られているそう。アルコール度数は5~6%。

飲みやすいとはいえ、りんごの風味がしっかりしていて、味わい深い。

そして間もなく、ガレットも到着した。

きれいに折り畳まれた、香ばしいそば粉の生地。

中には卵、ジャンボン・ブラン、チーズ。

ふわりと立ち上がるバターの香りに、Soupの表情がゆるむ。

Soup:「サクサクだね。」

Miyu:「ジャンボンもしっとり柔らかくて美味しいね。」

Soup:「バターがもっと欲しいくらい。」

そうだ。Soupはバターが大好きだった。

店員さんが着ているSAINT JAMESのボーダーが、まるでブルターニュを旅しているような気分にさせてくれる。

Soup:「次はなに食べる?」

どうやら、ガレットはしっかりSoupの「美味しい記録」に加わったらしい。

食事のあと、隣の食材ショップにも立ち寄った。

ブルターニュのお菓子やシードルなどのお酒が並ぶ小さなお店。

そこで、Miyuは思わず足を止めた。

目の前にあったのは、エルミンの絵が描かれたビール。

Miyu:「……わたし?」

そう、エルミンはブルターニュ地方を象徴する小動物で、ブルターニュ公国時代に紋章や勲章にも採用されている。

ガレットを覚えたSoupと、エルミンのビールに出逢ったMiyu。

神楽坂のリトルフランスで、2人の美味しい記録がまたひとつ増えた。

Miyu:「また来ようね。」

<Cafe Information>

ル・ブルターニュ 神楽坂

東京都新宿区神楽坂4-2 コンフォート神楽坂1F

https://le-bretagne.com/